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トッカーノテトラを求めて。第2回アピスト編  3回連載
 


水の引いてしまったネグロ川の川底、増水季の下の写真と比較してください。

採集旅行と雑用に手間取って、なかなか続編が掲載できず、お待たせしてしまいました。一回目掲載から今日まですでに3回アマゾン採集に出かけており、その報告記も書きたいのですが、順をおってお届けさせていただきます。
第一回は、サンパウロを発って、マナウスを経由して今回の目的地サンガブリエル・カショエイラに到着するまでの経過でした。今回で漸く採集に出発です。
-第二回- さっそく食糧を調達して、友人の漁師に頼んで目的地に向かって出発です。

もう恐らく10年を越してしまったでしょう、このネグロ川サンガブリエル地 方にかようことになって。最近はこの地にも慣れてしまい、余り新鮮味がなく なってしまって、これではいけない、といつも気持の刷新に気をつけているつ もりなのですが、なかなか初回に訪問したときのようにはゆかないようです。
最近は乾季にばかりきていたので、今回のように雨季に来ると、ちょっと違う。 アマゾン河というのは、一応河と呼ばれているのですが、私の感覚では、これ は河というよりも、中流以下の下流地域の大凡を、大きな湖と考えています。 全長6000kmに及ぶ、偉大なアマゾンの湖というような思いがあります。

アマゾンに通うようになって、筆者はこの河の面白さを腹いっぱい詰めこん でいますが、そんな中で、このネグロ川の不思議について少し書いてみます。 今回はアピストグラマと呼ばれる魚を中心に、その生息地域を説明してみます。 アピスト(グラマは省略)という魚を、大まかに紹介しますと、日本にいる鮒 という魚によく似た魚です。しかしフナほどは大きくはならず、せいぜい7c m程度が親サイスの魚です。この魚には200種以上の様々な種類があって、 それぞれがとても可愛らしく、専門誌では写真入りで細かく分類されています。 アマゾン河一帯に、この魚の多数の種類が生息していて、特にネグロ川にしか いない種類がいっぱいある。それが原因で私のこの土地への旅が始まりました。


現在の水位、上の写真が乾季の水位です、この格差がネグロ川の水位の実態です。

日本の川に生息している魚類の場合、上流に生息している魚はたいていの場合 例外もありますが、下流にもいるようです。しかしアマゾンは全く違っている。 幾らかの上流、下流共通種類はあるのですが、このアピストはそれがないです。 地域によって、生息している種類がまるで違っている。  


ご覧のとうり、まだ3mほど水位が下がっただけ、乾季まであと3mの高さが引く。

現在までの私の経験談を少し話してみましょう。この住み分け現象の極端な例 をお話すると、ネグロ川に流れ込むイガラッペと呼ばれる小さな小川が沢山あ るのは想像していただけますか。この流れ込む小川で隣同士の位置の2河川で 全く違う種類がいる、ということが普通なのです。この2河川は距離にしたら せいぜい500m程度の距離です。この現象は多分それぞれの小川でその川独 自の生育環境と魚自体のDNAが違っている。こんな事実に気がついて、いつも頭 を掻き毟っていています、お陰で筆者は禿げました。掻き毟って禿げたのは冗 談ですが、それほど生息している種類が小川によって違っているのです。

下流から上流にむかって、現在まで私が知っている種類を順を追って書いてみ ましょうか。まずネグロ川がアマゾン本流と合流するマナウス市近郊地域に 生息しているのは、アガシジ・イエロータイプとビタエニのブルーやイエロー タイプもいます。。

そしてレガニ種がいて、これが尾筒の部分がピンクに染まる美麗種で、これが本当のレガニだと思う。 ペルテンシスもいますが、特徴的にはまだ観察していません。場所によるの ですが、この地域にはカンデイデイと呼ばれる細長い魚と、グリーンドワー フという珍種もいて、サンタレン近郊種とは別種のようです。という様に賑やかな地域です。

マナウスを出てネグロ川をしばらく上流に行った辺りには、アガシジの別色彩 タイプがいます、ビタエニアータのブルータイプで小型種の美麗種もいる。この辺りか らパウキスカミスが顔をだします。というような調子で上流に向かいます。  書き始めたら終わりがきませんので、この程度に端折っておきます。 そういう状況の連続が1000km以上も継続された上流にサンガブリエルの 町があります。 ゴウゴウと流れる真っ黒な水を両サイドに見ながら、船は流れに翻弄されて今 にもその流れのつくる渦に巻き込まれてしまいそうな、そんな恐怖を感じつつ 目的地に向かってゆく。ネグロ川という名称のとうり、真っ黒な水の透明度は 恐らく30cmにもならないだろうと思う、深みにハマルと恐ろしい川です。


どこにでもいそうな魚なのですが。

なぜ恐ろしいか、というと、深さ10m以上の渦の巻いている流れに落ちる と、流れが体を強烈にもて遊ぶことになる。そんな中で透明度が30cmく いなら水面に当たる光が全く届かない闇の世界です。救命胴衣を着用して いれば浮力が水面方向に働きますが、何もつけていないと浮力が働かなくなる。


久し振りの雨季、巨大な渦があちこちに出て、怖い怖い!

流された本人が、浮上しようとして、もがくとかえって深みに潜る可能性 がでてくることになり、息の続く間に水面に出られなくなってしまうからです。。 それで一巻の終わり、かえって遊泳力のある人の方が危ないのだ、という。 今回の船頭サンのお兄さんも10年程前に、サンガブリエルの滝を下ろう として船が転覆して流れに呑また。3日後に15km下流で発見されたそ うです。発見された場所が隣の郡だったそうで、悲しいことに、その隣の 郡に埋葬しなければならなかったそうです。。

同じ川の15km下流ということで、簡単に連れてかえってこられると考え ていたら、法律上の何も書類が無いため、動かせなかったそうです。 悲しいことに、インデイオには戸籍がないのです。そんな世界なのです。

最初の写真に映っているように、ネグロ川の川底には大きな石がごろごろして おり、雨季になるとそれらの巨石を全て流れが覆ってしまいます。雨季で増水 した川の流れは猛烈に速くなって、それら石の障害物を通過するときに大きな 渦となってながれることになるのです。上の渦の写真がその状態なのですが、 真っ黒い水面は全くその流れの本質を隠しています。物凄い流れが黒の大渦の したにあることを今回知りました。


  ネグロ川に沿って綺麗なインデイオ家屋が点在する、住んだら3日で飽きる?




途中高速ボートに追いぬかれる、何が写っても絵になる景色です。

アマゾン流域を旅していて、大抵の場所がとても綺麗な場所で、住んだら気持 いいだろうなー、と思います。しかしさにあらず、水と自然は豊富なのですが 電気がない、娯楽がない、食い物がない、女がいない、のないない尽くしです。 上の写真は本当に綺麗ですが、住んだら、それは大変な所なのだ、と学習して います。



右の写真は、インデイオが焼畑農業の新天地を開拓した新しい畑です。この焼 畑農業が一時アマゾンの自然を破壊する元凶だ、といって世界中から非難を受 けた時代がありました。しかし筆者はアマゾンを旅していて、それは間違いで はないか、と思うようになりました。焼畑をやって3―4年作物を採っても、 跡地を放棄してしまえば、3―4年でまた元の原生林に再生することを方々で みてきています。焼畑は大丈夫だとおもいます。


インデイオ達が新しく開いた焼畑、こういう規模の開拓であれば、放置すれば3年で元のジャングルに戻る。




ネグロ川の砂浜、これぞネグロ川というイメージがとても綺麗にでています。

そしたら何が自然を破壊するのか、というと、焼畑の後を牧場にすると、これ はもう完全な自然破壊になる、と思う。そしてこういう未開の土地に文明をも った人間が入って、近代農業なんか持ちこんだら、自然は本当に一巻の終わり。 化学肥料、農薬、除草剤、これが自然破壊の三種の神器ではないか、と筆者は 考えています。こういうものは絶対にネグロ川流域には入れてほしくないですね。



そんなことを考えているいるうちに、日が暮れてしまって真っ暗な夜にな っていました。もっとも危険な夜の無灯火航路になっていました。 筆者は夜目がきかないので、どのように走っているのか全く分からない。 船頭は地元のインデイオなので、こういう走りには慣れているよ うです、しかし筆者のとっては怖いこと限りの無い話であります。


目的地に到着、荷物を置いてカヌーを繋留に急ぐ。



目的地の流れにはケヤリ草が無数に流れにそよいでいる。このケヤリは水質の違いか、生育がむつかしい。

真っ暗になった午後10時、漸く目的地に到着しました。ホッと安堵の思いで 荷物をゲストルームの屋根だけ葺いてある小屋に運び、疲れた体をハンモック に横たえて眠りにつく、しかしさっきの夜旅の恐怖でなかなか寝つけない夜と なったのでした。・・・・・・・・・・・・・・2004年正月記載。以下は次号で。

  

  


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